緑内障に対するレーザー治療
治療の基本は眼圧を下げること
緑内障は視神経が弱って視野が狭くなる病気です。
眼圧が高く神経が傷んでいく場合と、眼圧が正常ですがもともと視神経が弱く傷んでいく場合があります。いったん障害を受けた視神経は二度と元には戻りません。そのため、緑内障の治療の基本は、視神経が傷まない水準まで眼圧を下げることになります。
SLTとはどんな治療ですか?
SLTとは選択的レーザー線維柱帯形成術(Selective Laser Trabeculoplasty)のことで、眼圧を下げる効果の高いレーザー治療法です。
このレーザーは低エネルギーの短パルスを房水の流出経路である線維柱帯に照射します。この処置いより体内の自然治癒反応が引き起こされ、房水の排出機能が改善し、眼圧が下がります。非常に低出力であるため、眼内構造に損傷を及ぼすことはありません。
第一選択治療としてSLTを選んだ場合のメリットは?
1回のレーザー治療で数年間効果が持続しますので、点眼治療のような毎日の煩わしさがありません。また、2~3回繰り返し治療が可能なため、しばらくの間点眼なしで管理できる可能性があります。
ただし、効果に個人差があり、2割くらいの方にはレーザーで十分な眼圧下降効果が認められないことがあります。その場合は、点眼治療など別の治療を追加していくことになります。
日本緑内障学会支援事業として参加している「正常眼圧緑内障に対する第一選択治療および第二選択治療としてのSLTの有効性に関する前向き研究」では、
<第一選択治療として行った場合>
SLT前 16.3mmHg → SLT 1年後 13.4mmHg 17.1%の眼圧下降
<第二選択治療として行った場合>
SLT前 15.4mmHg → SLT 1年後 13.2mmHg 12.7%の眼圧下降
を得ることが分かりました(2023年度日本緑内障学会にて発表)。
SLTについてのQ&A
いいえ、施術中の痛みはありません。レーザー後、結膜充血や重圧感、かすみを感じることがありますが、数日でおさまります。重篤な合併症はありません。
治療前に点眼麻酔をし、専用のレンズを使用してレーザーを照射します。レーザーは座った姿勢で行い、手術室に入るわけではなく、外来のレーザー室で行います。
通常5分程度で終了します。
通院で行いますので入院は不要です。当日の運転や入浴なども制限はありません。
点眼を追加したり、手術を考慮します。
SLTは合併症の少ない治療です。
関心をお持ちの患者さまは、ぜひ担当医にご相談下さい。