緑内障QandA

患者さまからよく寄せられる緑内障に関するご質問を「Q&A」形式でご覧頂けます。

日常生活で緑内障が治る方法があるならぜひ紹介したいところですが、はっきりしたエビデンス(科学的根拠)を持つものはないのが現状です
緑内障の発症と進行には、眼圧・加齢・近視、それ以外にも血流低下・酸化ストレスなどいくつもの要因が複合的に関与していると考えられています。悪化させないために一番確実なことは、定期的に受診し、治療を続けることです
もちろん、規則正しい食事と適度な運動・十分な睡眠を心がけることは、緑内障のためだけでなく、心と体の健康を維持するために必要です。
緑内障だからこうしなくてはならないと神経質になりすぎず、引き続き治療を頑張っていきましょう。

ブルーライトとは、目に見える光のうち最も波長が短い青色光のことで、スマートフォンやテレビの画面から発せられています。
ブルーライトは強いエネルギーを持っているので、ブルーライトを浴び続けると、疲れ目の原因になりますし、黄斑部が障害を受け、ものが歪んで見えたり視力低下をきたす黄斑変性症を引き起こす原因があると指摘されています。
一方で緑内障とブルーライトの関係はわかっていないので、現時点ではあまり心配しすぎる必要はないでしょう。
とはいえ、疲れ目を防ぎたい場合には、ブルーライトをカットする眼鏡なども使用してみてはいかがでしょうか

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が10秒以上続けて止まる無呼吸発作を繰り返す病気です。日本には睡眠時無呼吸症候群のひとが300万人以上いると推定されていますが、睡眠時無呼吸症候群のひとは緑内障になるリスクが2倍以上高いことが知られています。
睡眠時無呼吸症候群のひとは血液中の酸素が減るので、網膜も低酸素状態になり、視神経が障害されることで緑内障になると推測されています。
特に肥満のひとでは、舌の根もとや喉の周りに脂肪がついて気道が狭くなることで、睡眠時無呼吸症候群が起こりやすくなります。
治療としてはまずは食事制限や運動で減量することが大切です
それでも治らない重度の睡眠時無呼吸症候群のかたは、呼吸器内科など専門の施設で治療を受けられることをお勧めします。

近視のひとは、眼軸長(目の大きさ)が長くて視神経が障害を受けやすく、緑内障になりやすいことが分かっています。
日本人緑内障の大規模疫学調査である多治見スタディによると、軽度近視のひとで1.85倍、強度近視のひとでは2.60倍になると報告されています。
近視を矯正する方法にレーシック手術がありますが、目の形が変わるわけではないので、緑内障のなりやすさは変わりません。
近視のひとが緑内障になった場合は、視力に影響を及ぼしやすい中心視野から障害されることが多いので、定期的に検診を受けるようにしましょう

運動にはウォーキングやジョギングなど酸素を取り込みながら長時間続けて行える有酸素運動と、短距離走やダンベルなどを使った筋力トレーニングで短時間に強い力を発揮する無酸素運動があります。
これまでのさまざまな研究より、有酸素運動は眼圧を下げる可能性が報告されており、血流も改善しますので、普段の生活から上手に有酸素運動を取り入れることがお勧めです
長続きする有酸素運動としては、いつでもどこでもできるウォーキングがよいでしょう
背筋を伸ばして、息が少し切れる程度の速さで、毎日20~30分程度でよいので歩いてみて下さい
忙しくてウォーキング専用の時間が取りづらいひとは、通勤時にひと駅手前で降りて歩く・買い物に徒歩で行く、といった工夫をするのがよいと思います。

一説には、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには眼圧を一時的に上げる可能性があるとされていますが、それは毎日500ミリグラム以上のカフェインを摂取した場合です。
コーヒー1杯に含まれるカフェイン量は60~90ミリグラムなので、1日に数杯飲む程度であれば、気にする必要はありません
お酒(アルコール)については、お酒そのものが眼圧を上げることはないですが、とはいえ、多量のアルコールを毎日飲みすぎると肝臓を痛めてさまざまな病気の原因になるので、節度ある飲酒量にとどめておきましょう

法律の基準でいうと、両目での視力が0.7以上で、かつ片方の目の視力が0.3以上であれば、免許の取得・更新は可能です。
とはいえ、視力が基準を満たしていても、視野障害が進行している方では、信号を確認できなかったり、歩行者や自転車を見落とすなど、事故を起こす危険が増します
実際、自動車事故を起こした高齢者が緑内障にかかっていた率は、事故を起こしていない高齢者の3.6倍多いという報告や、両目に視野障害があると自動車事故を起こす確率が2倍になるという報告もあります。
運転する際には、とにかくスピードを出さずに安全運転を心がけ、視線と頭を意識的に動かして周りをしっかり確認しましょう
すでに緑内障のある方で、もし、事故を起こしそうになったり、実際に車をこすったり、家族に運転を注意されたりした場合には、運転はできるかぎりやめる方向で考えて下さい。

緑内障というと眼圧が高いというイメージがありますが、実は日本人に一番多いのは「正常眼圧緑内障」です。

眼圧の正常値は10〜21mmHgですが、この範囲内にあっても神経の障害が進んでしまう緑内障を「正常眼圧緑内障」といい、日本人の緑内障の7割を占めます。逆に眼圧が少し高めでも視野障害をきたしていない「高眼圧症」と呼ばれる人たちもいます。
〝眼圧が高い=緑内障〞ではないのです。

早期発見するためには眼科検診しかありません。緑内障は、日本人の失明原因の第1位ですが、早期のうちから、きちんと治療を行っている患者さんのほとんどは失明には至っていません。
緑内障は早期発見すれば恐くない病気ですが、有病率は40歳以上の5%と、非常に多い病気です。一にも二にも、眼科検診を受けるのが最良の早期発見方法と言えるでしょう。

緑内障では、初期や中期のうちは、自覚症状はほとんどありません。視野が欠損していても、緑内障になっていない方の目や、脳が視野を補完してくれるため、欠損部は黒く見えず、片目が失明寸前でも気づかないこともあります。

緑内障患者の見え方と正常な見え方

眼圧検査、視野検査、眼底検査が一般的な検査です。最新鋭の光干渉断層計(OCT)を用いた検査は、早期発見に有効です。
OCTとは、非侵襲的に眼底に弱い赤外光を当て、その反射を解析することで網膜の断層画像を得ることができる器械です。この検査を行うことで、従来の検査では発見が困難であった網膜の微細な変化を捉えることが可能となり、緑内障によって障害された視神経線維層と細胞層の異常をより早く発見できます。いずれの検査も痛みはありません。

OCTによる検査で発見された緑内障。

緑内障治療の基本は目薬ですが、眼圧がしっかり下がらない場合や、眼圧が下がっても視野障害が進行する場合には、レーザー治療や手術療法を検討します。

初期から中期の患者さんに対しては、最近では「MIGS」と呼ばれる体への負担の少ない手術が行われるようになってきました。効果は比較的穏やかですが、重篤な合併症が少ないとされています。中期以降の患者さんには、「線維柱帯切除術」という、眼外へ水を排出する経路を新たに作成する手術を行います。

緑内障手術の目標は残っている視機能の維持にあり、手術を行っても障害された視力、視野を改善することは困難ですから、とにかく早期発見が大切です。

線維柱帯切除術のイメージ